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大宮にあるから大宮ソフト

その10 騒動篇(かなり長いです)

time 1998/03/09

久々である。別にさほど忙しかったわけではない。最近書く事があまり無く、ともするとどんどんエラソーなことを書きそうだったので(エラソーに書くのはこのコーナーのコンセプトでもあったのだが…)、自重していたのである。

で、今回久々に書くのは(恐らく日記の方でも触れられているとは思うが)、3/8開催された『カルドセプト ゲーム大会』の観戦レポートである。

当日、天気は快晴。絶好のカルド日和(?)であった。その日、朝4時までTRPG&ボードゲームをしていた私は、眠い目をこすりつつ羽田近郊のセガ本社へ向かった。到着したのは12:15頃であったが、すでに半数以上の「セプター」が会場に姿を見せていた。そこは、前回出版対抗の大会が行われた場所である。しかし、今回は人数が違う。

ルールも工夫されており、予選で優勝し、かつ、総魔力数が全テーブルの中で上位4位に入らなければならない、というものだった。そのため、大量殺戮で勝ち逃げという方法は難しく、普段のブックの傾向と違う物を要求されたセプターも多かったのではないだろうか。(20Rルールは前回と同じだった)

人数もそろい、会場の大画面にゲーム大会の文字が映し出されると、映画配給会社のBGMのような、勇壮な曲が流れ出す。「おお、大会って感じだぜ!」と感動していると、突然「せ~がた三四郎、せ~がた三四郎…」の歌詞が。会場は一瞬どよめく。イカすぜ、セガさん。

予選が開始されると、我々は会場を回り、試合の様子とブックの傾向などを見ることにした。

会場風景

今回は、上記のルールに加え、マップが「城塞都市ロカ」であることが知らされていた。
感心させられたのは、セプターの多くがその条件をかなり踏まえたブック作りをしているということであった。例えば、「テレポート(最も近い「施設」に飛ぶ)」などは普段あまり使用されないと思われるカードであるが、今回、施設といえば城と砦しか無いので、ある意味もっとも効率のいい加速カードである。

その他人気があったのはデコイ、ニンジャ、ミルメコレオなど。これらは、戦闘での除去しにくさを重視した物である。デコイとランドプロテクト又はミューテーションのコンボで鉄壁の防御を図る者もいた。しかし、それさえも考慮していたがごとくスクロールの含有率も高かった。さすがである。

女性参加者の比率は低かったが、健闘は目立った。予選上位21名中女性は3名、うち1名は決勝にも残った。

20Rルールであるため、3000Gを取れれば良い方だと思っていた。確かに前回の出版大会の優勝者はもう一歩で6000Gという所まで行ったが、それは希有な例だろうと踏んでいた。
ところが、今回の予選第2位は7997G、第1位に至っては、なんと14549G(!)であった。

予選での組み合わせ(特に属性がかち合ってしまったり)によって、思い通りの試合ができなかったり、その逆の人もいただろうが、この点数は運だけでは取れないだろう。(みんな「運が良かったから」とか言っていたが、それは謙遜と取ろう。運が勝因と言うことでは作り手の立場が…。)決勝の様子は、会場にある大画面に映し出された。当初、対戦を終えた参加者はフリー対戦をできることになっていたが、試合が始まると、ほぼ全員が大画面に釘付けとなった。出版大会の時は間を持たせるための実況があったが、今回、実況解説一切無し。これは手抜きではなく、決勝戦の緊張感がそうさせたのであろう。

会場は基本的に静まり返っていたが、ドローされるカードに反応してときおり笑いやどよめきがおこるのが面白かった(例えば、イビルブラストを引いてくると「おおっ」と声が上がる…気持ち分かりますよね?)。あまりゲームを知らないスタッフには、その反応の意味は分からなかったようであるが、私は会場にいるセプター達との一種の連帯感を感じて感動したものである。

最初、試合は予選上位のセプターが場を制する形になりかかったが「出る杭は打たれる」の言葉どおり、目の敵にされ、沈められて行った。これは、前回の出版大会の時もそうだったので、序盤で飛ばしすぎるのは良くないというのは定石になりそうである。
その中で、立ち上がりは遅かったものの、着実な手で魔力をため込んでいったのが今回の優勝者だった。彼のブックは会場にも話題を提供した。当初、ドローするたび「ワード(歩数)系」カードばかり引いており、「バックワード」をドローするに至っては会場に笑いも起こったが、それはその後、感心のどよめきに変わるのである。
グレムリン+ランドプロテクトでほぼ無敵の領地を得た後、大量に引いてきたワードによって、自分は敵地をやりすごし、相手をその無敵土地へ誘い込むという作戦だったのだ。自分のスペルフェイズになるたびマップで相手と土地との位置を確認する様子を会場は笑って見ていたが、対戦相手は戦々恐々としていたことであろう。一度、グレムリンの天敵であるナイトメアが止まり、あわや逆転か、と会場の人々の息を飲ませるようなシーンもあったが、ペトリフストーンによってその試みは潰えた。彼は「ストーン」を4枚仕込んでいたそうなので、これも運ではないだろう。

結局、ワード使い「アルシャーネ」が優勝となった。面白い試合をありがとう、という感じである。
女性セプターが2位に食い込んだのも特筆すべきか。あまりマークされていなかったのも理由であろうが(予選4位であった)、出版大会の優勝者も女性であったことを見るに、女性が強力なセプター能力を発現することは希では無いようだ。もっともっと女性にもプレイして欲しいものである。

こうして大会は大成功のうちに幕を閉じたのである。閉会後、社長がサインを求められるというハプニング(?)もあった。
今回、試合内容の充実度もさることながら、私的に収穫だったことがある。参加者の中に、RPGマガジン好評連載中「デュエルファイター刃」の作者中村先生がおり(ジンというセプターがいたの、気付きました?)、カルドの愛好者であることが判明したことと、イラスト入りサインをいただけたことである(職権乱用…)。

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様々なパブリッシャーを渡り歩く、流浪のソフトハウス。

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