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大宮にあるから大宮ソフト

公式大会も終わってしばらく経ちますが、気持ちも落ち着いてきたところで、ここまでのカルドセプトDSの「環境」を振り返ってみようと思います。
個々のカードの人気などは総研レポートを見てもらうとして、それだけではなく、評価の推移や開発中の評価予測と実際の評価の差異なんてものを照らし合わせると、興味深い部分もあったりします。

あくまで個人的な印象論ですし、これからも環境は変わっていくと思うので、永久不変のものではありませんが、一片の真理が…あったらいいなあと思います(笑)。

地属性の台頭

属性として一番人気は、地属性でしたね。

模擬大会「セガカップ」の結果から、事前に強いだろうと予測していたのは
「風のジーニーブック」
「火のドラゴンブック」
などでした。
特に、風のブックは「ジーニー」という鉄壁の守護者がいる上に、以前から人気の「グレムリン」「ミルメコレオ」や、発売後にも猛威を振るった「モスマン」などスター選手がそろっており、人気は間違いないだろうと思っていました。

ところが、実際にはこれらを押さえて地属性ブックが一番人気となりました。

考えられる理由の一つは、今回のゲーム展開の高速化によるものではないかと思います。

ゲーム展開が速くなると、高コストで強いクリーチャーが使いにくくなります。確かに風の強いクリーチャーは、コストが高めです。
逆に地属性の方は、低コスト域に使いやすいクリーチャーが複数存在します。「マミー」「ドリアード」「ディー・ダム」などですね。このあたりが人気の理由なのではないでしょうか。
(しかし、ディー・ダムに人気が出るなんて、全く予想できませんでしたね…)

とは言え、大会では全ての属性のブックが使われていました。特定の属性が絶対的に強いということは無かったようで、その部分はホッとしています。
自然淘汰的に地属性が頭一つ有利だった、という所でしょうか。ただし同じ属性を使うライバルが多い場合、一人だけ違う属性を使っていた方が有利になったりもしますし、地属性を使っていれば万全というわけではなく、やはり「メタを読む」ことが必要になるわけですね。

ブックのオリジナリティ

カルドセプトDSのストラテジー
でも書いたように、今回、ブックに入れるクリーチャーに関しては、オリジナリティを発揮する余裕があったのではないかと思います。

確かに定番クリーチャーというのはありましたけどね。でも、いくつかの定番を入れた残りのスロットには、個性的なクリーチャーを入れていた方も多かったように思います。

そんなオリジナリティの中から、再認識されたクリーチャーもあるはずです。例えば「ディー・ダム」や「バロン」などは当初それほど注目されていなかったカードですが、大会直前では著しく評価が上がっています。

想像が正しければ、これは今回特有の現象となりますね。カードそれぞれの特徴がもっとはっきりしてくると、特定の意図のブックに入るクリーチャーは、はっきり決まって来るはずです。
それはそれでさびしい気もしますけどね。まあ、この緩い環境を今のうちに楽しんでおきましょう。

「焼殺スペル」の沈黙

今回の大会では、「焼殺スペル(「テンペスト」や「イビルブラスト」など)」がほぼ鳴りを潜めていました。(関連:嵐は止むか?
これは、焼殺スペルそのものの弱体化も理由ですが、ゲーム展開の高速化もそれに拍車をかけていたと思います。
スペルで特定の人を凹ませても、それ以外の人たちから見るとコストと手数的には損になってしまいます。以前はその差を時間をかけて埋めて行けたのですが、今回の展開の速さではその時間も無い。だったらその分を自分の魔力増強にまわした方が効率が良いという判断ではないかと思います。
デザイナーとしては、意識してそのように持っていったこともあって、目的は見事に達せられたことにはなりますが、ちょっと行き過ぎの感もありますね。

それでも「セガカップ」では「ウィザードアイ」「ジーニー」「カタストロフィ」の三連コンボが猛威を奮い、「焼殺復権」の可能性に少しビクビクもしていたのですが…。

焼殺スペルの沈黙は、環境に予想以上の影響を与えました。
なにしろHP30以下のクリーチャーが平然と配置され、レベルアップされる環境になったのですから。
以前では「アンシーン」レベル5領地なんて、考えられなかったです。「マジックボルト」で一発ですからね。
(もしかすると「アースシェイカー」変更の影響もあるのかもしれません)
当然の結果とはいえ、「ランドプロテクト」が全く使われなくなったのも特筆すべきですね。これも以前の感覚からすると意外なことです(これは地変スペルの変更の影響ありますね。まあ、敵に使う地変は焼殺みたいなものですが…)。

良し悪しはともかく、以前のものとはかなり違った環境になったのは確かです。
個人的には、予想以上の結果も含めて上手く行ったと自負しているのですが、好みはそれぞれだとも思います。2ndのようにもう少しスペルの影響力が強かったり、SAGAのようにもう少し派手で逆転要素の高い環境の方が好みという方もいるでしょう。究極の一作というのはなかなか難しいものです。

「種族」

カルドDSで変更を加えながらも復活した種族要素(関連:「種族」再び)ですが、これも概ね上手く行ったのではないかと思います。

導入しても大きな混乱が無かった、というのが消極的な部分での「成功」ですが、種族は環境にも深く静かに影響を与えて、面白さも増していたと思います。

「エルダードラゴン」のドラゴンブックは種族の派手な用法だと思います。もっとも、こういう派手なギミックは実際の大会ではそれほど目立ちませんでした。
むしろ、「クレリック」の人気がここまで上がったことこそが、種族の大きな影響と言えるでしょう。
「即死」の汎用性としては「バジリスク」に軍配が上がりますが、それで即死させられない「不死族」を即死させられる部分が有用と判断されたのだと思います。

また大会クラスの試合で「エルブンクローク」(戦闘中、植物族になる)が使用されていたことなども、種族要素の極みですね。かなり偏った能力なのですが、種族即死等に対しては確かに強力です。
微妙なところでは、「デコイ」より「アンシーン」が人気になったりしたのも、種族の差かもしれません。「ホーリーブライト」で破壊されないように…とか。違うかな。

カルドDSで上手く導入できた種族要素ですが、やはり今回(というか1st)限定のシステムにしようと思ってます。
以降の作品にも…とちょっとは思ったりもしたのですが、各作品のシステムに違いがあるというのも、作品ごとの特徴付けになって良いかなと。
「今回のアレは好きだが、前回のアレも好きだな」みたいな。
まあ、まだ決まったわけではないですけどね。

長くなってきたので、今回はこの辺で…。

(2009.4.15 神宮)

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様々なパブリッシャーを渡り歩く、流浪のソフトハウス。

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