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大宮にあるから大宮ソフト

先週発売となった、ニンテンドー3DS「カルドセプト」、楽しんでいただいてますか!?
3Dになった画面表示や「歩き速度設定」での高速移動など、言葉では伝えにくい細かな「セールスポイント」も、実際のプレイで体感していただけているかな、と思いますが…いかがでしょう?

さて…今回は、一見地味な話題…。
…ですが、前作「カルドセプトDS」からのセプターの方々には、意外にインパクトの強い話題かもしれません。
まあ、既にプレイした方は、気付いていると思いますけどね。

土地ころがし!?

前作「カルドセプトDS」では、領地売却(魔力不足時に土地を手放し魔力に換えること)を絡めた戦術がかなり強力でした。
連鎖含みで大きくレベルアップした領地を売ることで、売却益を得て、それを次の土地レベルアップに注ぎ込む。
「天然ラントラ」とか「土地ころがし」なんて呼んでました。

この戦術自体はDS版以前にも存在はしており、その強さもある程度認識していたのですが…対策が必要とまでは感じていませんでした。むしろテクニックとして感心していたほど。
この戦術を使うには、そこに至るまでの積み込みが必要で、決して「安易な戦術」ではありませんからね。

しかしDS版の後、初心者を強く意識するようになると、ようやく問題点を感じ始めました(気づくのが遅い)。
戦術としての良し悪し以前に、この戦術は初心者と熟練者の間に大きな溝を作っているのではないかと思ったのです。

カルドセプトは、チュートリアルなどのゲーム説明では「領地を集め、レベルアップし、通行料を奪って勝利するゲーム」という方向付けをしています。

それが、熟練者のプレイでは「土地を売ってしまう事がかなり有利」という発想になります。
これは、初心者に理解困難なのではないか…と。

それで今作では、この件に関していくつかの調整を入れてみたのです。

領地の売却額修正

まず、一番大きく、一番直接的なのがこれですね。

領地の売却価格を、価値の80%に変更

つまり、売った時もらえる魔力が、領地として持っていた場合の価値よりも小さくなったのです。
売れば売るほど、総魔力は少しずつ目減りしてしまいます。場合によっては、売却によって順位が逆転する可能性だって出てきます。
もちろん、戦略家の場合は、その後の売却益運用でそれ以上の収益を目論んでいるでしょうけど。それでも、安易な売却はしにくくなったかな、と。

まあ、実際の効果よりも、精神的な効果の方が大きいかもしれませんね。
しかし、抑制力になればそれでOK。

ランドトランスのコスト修正

次に、この戦略の相棒つぶし。

 「ランドトランス」※のコストを50G→100Gに

(※ ランドトランス=対象自領地を手放し、魔力を得るスペル)

領地の売却は、いつでもできるわけではありません。
通常は、魔力がマイナスになった時のみ売却可能になるわけですが…

熟練者の場合、故意に敵領地を踏んで通行料を奪われ、それで魔力不足になることで売却に持って行く…というような、複雑なテクニックを使います。(そのくらい面倒な工程が必要なので、影響力を過小評価してたというのもあります…)

ですが、この「ランドトランス」というスペルが手札にあれば、いつでも領地売却ができてしまいます。
これもこの戦術の有効性に手を貸していました。

それを、コストを上げる事で、若干使いにくくしてしまいました。

「50G高い」ことよりも、手持ち魔力100G以上キープしなければならない所で、使いにくくなったのではないかと。
不意に敵の侵略に応じてアイテムを使ったりすると、100G切っちゃったりしますからね。
さらに100G以上のコストだと「レイオブロウ」※での破壊対象にもなります。

(※レイオブロウ=全てのセプターの手札にある使用魔力G100以上のカードを破壊するスペル)

しかし…このラントラのコスト調整は、自分の先見の明の無さを暴露しているようなものですね…。
(まあ、以前にも「リンカネ」とか、似たようなことはありましたけど…)

領地ボーナスの増額

周回ボーナス時に得られる領地ボーナスを 20G→40Gに増額

つまり、毎周、所持領地数×40Gのボーナスが得られるようになりました。

これも、ひとつの土地売却対策のつもりです。
領地の数が重要であれば、領地を手放すのにも抵抗が出るんじゃないか?
意図は、まあ、そんな単純なところ。

既にプレイした方は、今作の領地数の重要性には気付かれたんじゃないかと思います。
周回ボーナスにおける領地ボーナスの比重が、かなり高くなっています。

これは、売却対策以外にも、

  • 周回重視で逃げ切るようなプレイをしにくくする
  • 単純にボーナス額を増やして、展開を早くする
  • 「まずは領地を得る」ことの重要性を初心者にも感覚的に把握させる

というような、様々な役割も持っています。

売却対策としてはささやかですが、ゲーム全体への影響力は一番強いかもしれません。
特に同盟戦では、同盟者の合計領地数ボーナスが入るので、かなり重要になりますね。

以上のような対策を施して、今回、「土地売却」戦術を使いにくい方向にしているわけですが…

決して、この戦術を根絶しようとは思っていません。
ちょっとだけ使いにくくして、これを使わないセプターでも、ある程度対抗できるようになればいいな、というのが今回の意図なのです。

これはこれで、見事な戦術だと思いますからね。戦術の多様性は、できるだけ残したいと思っています。
まあ、「ちょうど良い案配」というのは、一番難しいのですけど。

さて、これらの「地味な」調整は、どれだけ効果を発揮しているでしょうか?
というか、もう既に、巷では答えが出始めているかもしれませんね。

(2012.7.2 神宮)

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様々なパブリッシャーを渡り歩く、流浪のソフトハウス。

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